AZ-900(Microsoft Azure Fundamentals)は、クラウドの入口として最初に選ばれやすい試験です。同時に「教材代を一円もかけずに準備できる資格」としても名前が挙がります。
ただ、実際に無料縛りでやってみると、すんなり届く部分と、意識しないと最後まで穴が残る部分がはっきり分かれます。ここでは教材の種類ごとに、どこまでカバーできてどこが残るのかを分けて整理します。なお、受験料・問題数・合格ラインなどの数字は改定されることがあるので、この記事では扱いません。申込前に必ず、試験を実施している団体の公式ページで最新の情報を確認してください。
無料縛りで揃う教材は、大きく3種類
お金をかけない前提でも、性質の違う教材が3つ手に入ります。役割が違うので、どれか1つで完結させようとすると詰まりやすくなります。
- 読む教材:Microsoft Learn の公式ラーニングパス(無料で全文公開されている)
- 解く教材:無料で公開されている練習問題
- 触る教材:Azure の無料アカウントや、公式が提供している試用の枠
「読む→解く→触る」を1周ずつ回すのと、読むだけを3周するのとでは、同じ時間でも手応えがかなり変わります。
Microsoft Learn でカバーできる範囲
AZ-900に関しては、公式が試験の出題範囲に沿ったラーニングパスを無料で公開しています。しかも試験の出題範囲を書いたスキル概要(Study guide / Exam skills outline)も同じく無料で読めます。ここが他資格と比べても恵まれている点です。
得意なところ
- 用語の定義が正確。クラウドの共有責任モデル、可用性ゾーンとリージョンの関係、スケールアップとスケールアウトの違いなど、「言葉の意味を取り違えたまま覚える」事故が起きにくい
- 範囲の抜けが出にくい。出題範囲のドキュメントと突き合わせながら進めれば、自分が読んでいない領域が一目で分かる
- 改定に強い。試験範囲が変わったとき、真っ先に更新されるのが公式側です
苦手なところ
- 読んだつもりが残りやすい。読み物として理解できても、選択肢の形で問われると答えられないことがあります
- AZ-900では出ない細かい話まで書かれている箇所がある。入門試験の深さを超えた説明に時間を取られると、範囲全体を1周する前に息切れしやすくなります
- 紛らわしい語の「並べての比較」が薄い。試験で迷いやすいのは、単体の説明ではなく似た用語同士の見分けの方です
対策としては、読んだ節ごとに「この節から1問作るとしたら何を問うか」を一行メモにしておくと、読みっぱなしが減ります。
無料の練習問題でカバーできる範囲
読む教材の弱点をそのまま埋めるのが練習問題です。ここは無料でも数をこなせます。
無料の問題を使うときに効きやすい進め方は次の通りです。
- 範囲を1周する前から解き始める。読み終わるのを待たない。分からない問題は「まだ読んでいない領域の目印」として使う
- 正解した問題も、選ばなかった選択肢が何かを言えるか確認する。AZ-900は用語の見分けを問う形が多く、消去の理由が言えないと本番で揺れます
- 間違えた問題だけを翌日もう一度解く。1日空けて解き直すと、覚えたのか、直前に読んだだけなのかが分かれます
当サイトでもAZ-900の練習問題を登録不要・無料で公開しています。分野をまたいでランダムに出す使い方をすると、「どの分野の問題か」というヒントが消えるので、本番に近い状態で自分の抜けを見つけやすくなります。
一方で、無料の練習問題全般に共通する注意もあります。作成時期によっては範囲改定前の内容が混じることがあるので、解説と公式ドキュメントで食い違いを感じたら公式側を優先してください。
「触る」段は、無料枠でどこまでやれるか
Azure には無料で試せる枠があります(提供条件や対象サービスは変わることがあるので、Microsoft の公式ページで確認してください)。AZ-900は手を動かさなくても解ける設計の試験ですが、ポータル画面を一度でも触っておくと、リソースグループ・サブスクリプション・管理グループといった階層の話が急に具体的になります。
課金が発生しない範囲でも、次のあたりは体感しておく価値があります。
- ポータルにサインインして、リソースグループを作って消すまでの流れ
- 料金計算ツール(Pricing Calculator)で構成を組んでみる。従量課金の考え方が数字の形で見えます
- サービスの一覧画面を眺めて、名前と分類をざっと結び付ける
無料枠を使うときは、作ったリソースを消し忘れないことだけ気をつけてください。学習用の枠は上限に達すると止まる設定になっていることが多いですが、条件は自分のアカウントの表示で確認するのが確実です。
無料だけでは埋まりにくい2つの穴
ここが本題です。教材そのものは無料で足りても、次の2つは意識して作りにいかないと最後まで残りやすい部分です。
1. 本番同等の時間配分
無料の練習問題は、多くの場合1問ずつ答え合わせをしながら進む形です。この解き方は理解には向きますが、本番の「まとまった問題数を、途中で答えを見ずに、決められた時間で解き切る」感覚は身につきません。
作り方は簡単です。手持ちの無料問題からまとまった数をまとめて出し、答え合わせを最後まで我慢して通しで解く。これを一度やっておくだけで、途中で悩んだ問題をどう飛ばすか、見直しにどれくらい残せるかの感覚がつかめます。試験時間や問題数は公式ページの情報に合わせてください。
2. 出題形式への慣れ
Microsoft の試験は、単純な四択だけでなく、複数選択、正誤の組み合わせ、ドラッグして対応させる形式など、いくつかの形が使われます。加えて、一度次に進むと戻れないセクションが含まれる場合もあります。
形式そのものは、公式が公開している試験の案内ページや、公式のデモ・チュートリアル(試験前に画面操作を確認できるもの)で無料で確かめられます。知らずに本番で初見の画面に当たると、それだけで手が止まります。内容の勉強とは別枠で、形式の下見に一度時間を取ってください。
無料縛りでの現実的な進め方
順番だけ決めておくと迷いません。
- 公式のスキル概要を開き、範囲の見出しを紙かメモに書き写す
- Microsoft Learn を1トピック読むごとに、その範囲の無料問題を解く
- 間違えた問題の用語だけ、公式ドキュメントで定義を読み直す
- 範囲を1周したら、通しで時間を計って解く回を作る
- 出題形式と申込手順を公式ページで確認してから予約する
数をこなす段が終わったら、試験そのものの情報や仕上げの詰めは、同じ運営者が作っている姉妹サイトの資格道場のAZ-900学習ガイドにまとめてあります。範囲の分野ごとの重み付けや、直前期に何を見直すかといった話はそちらの方が詳しいので、当サイトで手を動かした後の確認に使ってください。
無料の教材だけでも、読む・解く・触るの3方向は一通り揃います。足りないのは教材ではなく、通しで解く回と形式の下見という「やり方」の部分です。そこだけ自分で用意すれば、お金をかけずに手を動かし続けられる試験です。
よくある質問
Q. 参考書を1冊も買わずにAZ-900の勉強を始めても大丈夫ですか
AZ-900は公式のラーニングパスと出題範囲のドキュメントが無料で公開されているので、まず無料教材だけで範囲を1周してみる進め方を取る人が多いです。1周してみて、読むだけでは頭に入りにくい分野がはっきりしてから書籍を検討しても遅くありません。先に買うより、詰まった箇所が分かってから選ぶ方が無駄が出にくいです。
Q. IT未経験でも無料教材だけで進められますか
用語そのものが初見だと、公式のラーニングパスは説明が簡潔に感じられることがあります。その場合は、読む前に無料問題を数問解いて「何を問われる分野なのか」を先に見てから読むと、当たりを付けやすくなります。分からない用語はその都度公式ドキュメントの定義に戻るのが遠回りに見えて確実です。
Q. AZ-900の範囲が改定されたかどうかは、どこで分かりますか
Microsoft の試験ページに掲載されているスキル概要(Study guide)に、変更点と適用日が示されるのが通例です。無料の練習問題は作成時期によって古い内容が残っていることがあるため、解説と公式の記述が食い違うと感じたら公式側を優先してください。学習を始める時点と申込の時点で一度ずつ確認しておくと安心です。
Q. AZ-900の次にAZ-104へ進むなら、無料教材の使い方は変わりますか
AZ-104のような実務寄りの試験になると、読んで覚えるだけでは届きにくく、実際にリソースを作って設定する経験の比重が上がります。AZ-900の段階から無料枠でポータルを触っておくと、その移行がなだらかになります。無料で読める教材の量も試験ごとに違うので、次の試験に進む前に公式ページで何が公開されているかを確認してください。
Q. 無料の練習問題は何周すれば良いですか
周回数を目標にすると、答えの位置を覚えただけの状態になりやすいです。回数ではなく「間違えた問題をゼロにする」「選ばなかった選択肢の理由を言える」を条件にして、それを満たすまで繰り返す形の方が状態を測りやすくなります。時間を空けて解き直すと、定着しているかどうかが分かれて見えます。