LinuC 101は、参考書を買わなくても勉強を始められる試験です。理由ははっきりしていて、出題されるコマンドやファイルの多くが、Linuxを入れた時点で手元にそろっているからです。ここでは無料で手に入るものを種類別に棚卸しして、どう組み合わせると前に進むのかをまとめます。
無料で手に入るものは大きく3種類
- LPI-Japanが公式に公開している資料(出題範囲・学習の手引きなど)
- 手元のLinux環境そのもの(コマンド・man・設定ファイル)
- 無料で解ける練習問題
順番も大事です。1で地図を手に入れ、2で実際に触り、3で抜けを見つける、という回し方が回転しやすくなります。
1. まずLPI-Japanの公式資料で範囲を確認する
試験を実施しているのはLPI-Japanです。出題範囲(主題と副題のリスト)や試験バージョンの改訂情報は公式サイトで公開されているので、勉強を始める前にここを見て、範囲の一覧を手元にコピーしておきます。
範囲リストは、そのままチェックリストとして使えます。副題ごとに「打った/打っていない」を記録していくと、自分が何をやっていないかが一目で分かります。受験料・問題数・合格ラインといった数字は改定されることがあるため、試験を実施している団体の公式ページで最新の情報を確認してください。
2. 最良の無料教材は、手元のLinuxそのもの
LinuC 101は「読む」より「打つ」で覚える科目です。ファイル操作、テキスト処理、パーミッション、プロセス、パッケージ管理は、どれも画面の前で手を動かせば数分で確かめられます。
環境を無料で用意する
- 使っていないPCにLinuxを直接インストールする
- 仮想化ソフトで仮想マシンを1台作る(無料で使えるものがあります)
- WindowsならWSLを使う
- Macなら仮想マシンかコンテナを使う
どれも費用はかかりません。壊しても作り直せる環境を1つ持っておくのが大事で、「rm を試すのが怖い」状態だと練習になりません。スナップショットを取れる仮想マシンだと気楽です。
man と --help は、最初から入っている公式ドキュメント
man ls や ls --help は、そのコマンドの一次情報です。オプションの意味を検索する前に man を引く癖をつけると、試験でオプションを問われた時に思い出せる形で記憶が残ります。
man -k 権限のようにキーワードから探すman 5 passwdのようにセクション番号を指定して設定ファイルの書式を読む- 長い man は
/で検索して該当箇所だけ読む
打って覚える具体例
ls -lの出力を見ながらchmodchownで表示がどう変わるか確認するgrepsortwcをパイプでつなぎ、リダイレクトで結果をファイルに落とすtarで固めてgzipで圧縮し、展開して中身が同じか確かめるpstopでプロセスを見て、killでシグナルを送るdfduでディスクの使用量を出す- パッケージ管理コマンドで、インストール・削除・検索を一通り実行する
「コマンド名と説明を暗記する」のではなく、「出力を見たことがある」状態を作るのが近道です。
3. 無料の練習問題で、抜けている副題を見つける
打っただけでは、試験の聞かれ方に慣れません。ここで練習問題を挟みます。当サイトのLinuC 101の練習問題は登録不要・無料で解けるので、範囲を一周した日の終わりに10問だけ解く、といった使い方ができます。間違えた問題は答えを覚えるのではなく、その場で端末に戻って実際に打ち直すと定着しやすくなります。
101が一通り回るようになったら、LinuC 102の練習問題に目を通しておくと、シェルスクリプトやネットワーク周りなど、次に何を触ることになるのかが見えます。
ここで数をこなしたあと、試験の全体像や申し込みの流れ、仕上げの進め方は、姉妹サイト「資格道場」のLinuCの学習ガイドにまとめてあるので、そちらも参考にしてみてください。
無料教材だけで進める時の弱点
無料の素材は量が多い代わりに、順番が決まっていません。気になったところから読み始めて、範囲の半分だけ詳しくなる、という進み方になりがちです。対策はシンプルで、公式の出題範囲リストを一枚だけ手元に置き、そこに進捗を書き込むことです。教材が無料でも、地図が1枚あれば迷いにくくなります。
もう一つは、解説の深さにばらつきがあることです。同じ主題でも、詳しく書かれた資料と一行で終わる資料が混ざります。分からない用語が出たら man に戻る、というルールを決めておくと止まりにくくなります。
1週間の回し方の例
- 月〜木:出題範囲リストの副題を1〜2個ずつ、端末で実際に打つ
- 金:その週に打ったコマンドを、見ないで思い出して打ち直す
- 土:練習問題をまとめて解き、間違えた副題に印をつける
- 日:印をつけた副題だけ、もう一度打つ
費用ゼロで回せて、記録も残ります。
LinuC 101は、参考書を買う前に端末を開いたほうが進む試験です。手元の環境と無料の問題があれば今日から始められるので、まず1つコマンドを打つところから続けてみてください。
よくある質問
Q. Linuxを触ったことがまったくない状態でも、無料教材だけで始められますか
始めている人は多いです。ただし最初の数日は「ディレクトリを移動する」「ファイルを作って中身を見る」レベルに絞ったほうが挫折しにくくなります。cd pwd ls cat の4つだけを何度も打って、画面に出る文字の意味が分かるようになってから範囲リストに入る、という順番がおすすめです。
Q. ディストリビューションはどれを選べばいいですか
出題範囲には複数系統のパッケージ管理が含まれるため、最終的には両方の系統を触っておきたいところです。とはいえ最初から2台用意する必要はなく、情報量の多い定番のものを1つ入れて進め、パッケージ管理の副題に入った段階でもう1つ仮想マシンを追加する形で足ります。どちらを先にするかで有利不利が大きく変わることはあまりありません。
Q. 業務でLinuxを使っています。その環境で練習してもいいですか
業務サーバーで練習コマンドを試すのは避けてください。権限やプロセスの操作は、意図せず影響が出ることがあります。自分の手元に壊してよい環境を別に用意して、そちらで試すのが安全です。業務環境は「本番でどう使われているか」を観察する場として使い分けると、両方が学習材料になります。
Q. スマホしか持っていない場合はどうすればいいですか
練習問題を解いたり出題範囲を読んだりはスマホでもできますが、コマンドを打つ練習だけは画面とキーボードのある環境が要ります。自宅にPCがない場合は、図書館や学校の共用PCで仮想環境が使えるか確認するか、中古の安価なPCを1台用意する方法があります。打つ時間が確保できるかどうかが、この試験では効いてきます。
Q. 無料教材だけで受験まで進めた人はいますか
Linuxを日常的に触れる環境がある人ほど、無料の素材だけで進めている割合が高い傾向です。一方で、体系立てて順番に学びたいタイプの人は、範囲リストと練習問題に加えて書籍を1冊足すと迷いが減ったという声もあります。まず無料で一周してみて、詰まったところだけ有料の教材を足す、という順番なら無駄が出にくくなります。