CCNAの勉強は、無料の材料だけでもかなり先まで進められます。設定コマンドを打つ練習は、シスコが無料で配っているシミュレータで大半をこなせます。用語や計算は、無料の練習問題で埋まります。残るのは、本物の機器が見せる細かな挙動の癖です。ここは無料環境だけでは見えにくいので、問題文と解説で補う形になります。
無料で使える材料は4種類
CCNAの学習に使える無料の材料は、次の4つです。
- Cisco Packet Tracer(シスコのネットワークシミュレータ)
- Cisco Networking Academy の無料コース
- シスコ公式の試験範囲(Exam Topics)のページ
- 無料の練習問題サイト
Packet Tracer は、Cisco Networking Academy にアカウントを登録すると入手できます。登録にお金はかかりません。試験範囲のページは、何が出るかを確かめる地図として使います。出題分野の比率や受験料は変わることがあるため、試験を実施しているシスコの公式ページで確認してください。
Packet Tracer で手を動かせる範囲
設定コマンドの練習はほぼここで足ります
Packet Tracer は、ルータやスイッチを画面上に置き、ケーブルでつないで設定できるソフトです。大まかに言うと、機器の代わりに動く練習台です。もう少し正確に言うと、本物の機器のOSを動かすエミュレータではなく、シスコが挙動を再現して作ったシミュレータにあたります。この違いが、後で書く線引きに関わってきます。
CCNAで打つ基本のコマンドは、Packet Tracer で一通り試せます。手を動かす題材は、次の5つから始めると進めやすくなります。
- ホスト名、パスワード、SSH の初期設定
- VLAN の作成とトランクの設定
- スタティックルートと OSPF の設定
- 標準ACLと拡張ACLの適用
- DHCP と NAT の設定
1回の練習は「壊して直す」までを1セットにします
設定が通ったら、わざと1か所を壊します。たとえばトランクの許可VLANから1つ外し、どこの通信が止まるかを ping で確かめます。次に show コマンドで原因を探し、元に戻します。この往復で、show の出力のどこを見ればよいかが手に残ります。試験では show の出力を読ませる問題が出やすいので、この練習がそのまま効いてきます。
LinuC 101 も、コマンドを打ちながら覚える資格です。無料の材料の集め方は LinuC 101の無料学習リソースまとめ に書きました。
無料の練習問題で埋める範囲
練習問題は、手を動かすだけでは身につきにくい知識を埋めます。向いているのは次の4つです。
- サブネット計算とIPv6アドレスの読み方
- プロトコルの用語と動きの違い(OSPFの状態、STPのポートの役割など)
- 無線LANとセキュリティの用語
- 自動化の範囲(REST API、JSON、構成管理ツールの名前と役割)
サブネット計算は、問題を解いた回数がそのまま速さになります。紙に書いて解き、答え合わせをして、間違えた型を次の日にもう一度解きます。当サイトの CCNA 200-301 の練習問題 は登録なしで何度でも解けるため、この繰り返しに使えます。
自動化の範囲は、Packet Tracer では触りにくい分野です。シスコの開発者向けサイト Cisco DevNet にも、無料の学習コンテンツがあります。CCNAで問われるのは用語と役割が中心なので、まず問題で語を覚え、気になった所だけ読みにいく順番で足ります。
無料環境では見えにくいこと
シミュレータは素直な答えを返しやすい
Packet Tracer は挙動を再現したソフトなので、本物の機器の癖までは写していません。見えにくいものは次の4つです。
- STP や OSPF が収束するまでの待ち時間の感覚
- debug コマンドの細かな出力
- 機種やOSのバージョンによるコマンドの違い
- ケーブルの抜けや、相手機器との設定のずれが起こす症状
たとえば本物のスイッチ同士で速度やデュプレックスの設定がずれると、通信は通るのに遅くなり、エラーのカウンタが増えていきます。Packet Tracer では、こうした中途半端な壊れ方が再現されにくくなっています。
足りない分は問題文と解説で補います
試験で問われるのは、こうした症状を show の出力から読み取る力です。実機を持っていなくても、出力例つきの問題を解き、解説で「どの行が手がかりか」を確かめれば補えます。実機や有料の仮想ラボを使うかは、仕事でネットワーク機器を触る予定があるかで決めてください。CCNAの合格を目標にする段階では、Packet Tracer と問題演習の組み合わせで進める人が多くいます。
無料の材料を回す順番の例
- 試験範囲のページで出題分野を確かめる
- Networking Academy の無料コースで基礎の用語を読む
- Packet Tracer で上の5つの題材を設定し、壊して直す
- 練習問題でサブネット計算と用語を毎日解く
- 間違えた問題の分野だけ Packet Tracer に戻って試す
5番の往復が回り始めると、問題の解説と画面の動きがつながってきます。クラウド系の資格で同じ問いを考えた記事に、AZ-900は無料の問題だけで受かるか があります。
ここで数をこなしたあと、試験そのものの情報や仕上げは、同じ運営者の姉妹サイト資格道場にある CCNAの学習ガイド で確かめられます。
機器を買わなくても、コマンドを打って壊して直す練習は今日から始められます。手を動かす回数を積み上げていけば、show の出力を読む目も少しずつ育っていきます。
よくある質問
Q. Packet Tracer は Mac でも使えますか
Packet Tracer は Windows のほか、macOS と Linux 向けにも配布されています。入手は Cisco Networking Academy のアカウントから行います。対応するOSのバージョンは更新で変わるので、ダウンロードページで確認してください。
Q. 英語が苦手でも無料の材料で進められますか
Packet Tracer の画面やコマンドは英語ですが、打つ語は決まった形が多く、繰り返すうちに慣れていきます。Networking Academy のコースは言語ごとに用意の状況が違うため、日本語版があるかを登録後に確かめてください。用語は、練習問題の解説で日本語の意味と結びつけると覚えやすくなります。
Q. 中古のルータやスイッチを買う必要はありますか
CCNAの学習だけなら、買わずに進める人が多くいます。中古機器はOSのバージョンが古く、試験範囲のコマンドが使えない場合があります。買うかどうかは、仕事で実機を触る予定ができてから決めても間に合います。
Q. 平日に時間が取れない社会人は、どう分けると続けやすいですか
平日は練習問題、休日は Packet Tracer と分けると続けやすくなります。練習問題はスマートフォンでも解けるので、通勤の時間に向いています。Packet Tracer はパソコンが要るため、まとまった時間が取れる日に設定と壊して直す練習を回します。